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February 10, 2009

Lindustria delle construzioni HOUSE Hが掲載されました

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出雲のLVL積層壁による木質建築「HOUSE H」が2009年1月にイタリアで発行された「l'idustria delle construzioni」という雑誌の「ARCHITETTURA E SPERIMENTAZIONE IN GIAPPONE(日本における建築と実験) 」に掲載されました。

この特集号は日本の建築デザインと構造デザインの有機的なコラボレーションを小規模な建築を中心にみていくものです。東京大学とローマ大学の合同ワークショップのアシスタント同士として知り合ったローマ人建築家Leone Spitaさんが編集し、山代はテーマ設定や作品の選定などに協力をしました。姉歯事件以来、不当な苦労にあわれていることも多い日本の優れた構造家の存在を、ヨーロッパの方々にも広く知ってほしいと思いました。

また、「Nuove alleanze, nuovi confini professionali / New alliances, new professional frontiers」と題して、解説文も書いています(原文の日本語テキストをつづきに掲載しています)。自分のテキストがイタリア語と英語で掲載されているというのは不思議な経験でした。

日本では手に入りにくい雑誌とは思いますが、専門図書館などで見かけられたら、ぜひご覧下さい。

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「建築家のコラボレーターとしての構造デザイナー」

 現代建築のデザイン潮流の中で日本の建築家は重要な地位を占めているといえるだろう。磯崎新や槇文彦、安藤忠雄、伊東豊雄といったベテランから、妹島和世と西沢立衛のSANNAなどのより若い世代、さらには30代のもっと若い建築家の中にも、常に世界中からその最新の動向が注目されているものがいる。注意深い人であれば、そういった一群の建築家のコラボレーターとして、おなじ様に一群の構造家が常に名前を連ねていることに気付くだろう。

 この構造家たちのユニークなところは、建築家のイメージした形態を技術的に解決し、設計図としてまとめるという受け身の仕事ではなく、建築家の着想をきっかけにしながらも、建築家との対話を通じて、構造のユニークさが建築の主たる魅力になるような提案を積極的にできることだろう。そして、このような有能な構造家たちが、一部のスターアーキテクトだけでなく、若い建築家たちともたくさんのプロジェクトをデザインしている。しかも予算の潤沢な大規模なプロジェクトだけでなく、予算の限られた小さな住宅のようなプロジェクトでも、建築家と構造家のクリエイティブなコラボレーションが行われている。そのことが全体として日本の現代建築の質を世界的なレベルに保っている大きな要因の一つだといえるだろう。

 なぜ日本においてそのようなことが可能なのかということは簡単には言えないが、一つには日本の建築の教育システムの特徴があげられるかもしれない。世界的には建築家は芸術家の一部とみなされ、独自の教育がなされるが、日本においては建築学科は、工学部に属している。将来建築家として主としてデザインを行うようになる学生も、構造家のようなエンジニアになる学生も一緒に建築設計を学ぶ。建築家は当然工学的な知識や経験をもっている必要があるが、同時に構造家が建築家がもっている価値観を共有している意味は大きいと言えるだろう。建築家と構造家は同じ学校で学び、建築家が主で、構造家がそれに仕えるといった主従の関係ではなく、フラットな立場で、対話しコラボレーションできる。

 また現在の構造家の活躍を支えている重要なツールはパーソナルなコンピューターの発達といえるだろう。これは日本に特有の現象とはいえないが、決定的な要素だろう。低いコストで気軽に高度な構造シミュレーションが可能になったことで、小住宅のような設計コストが限られたプロジェクトでも、一般的な設計方法にとらわれず、先進的な構造設計に取り組むことが出来る。また、複雑な構造設計においては、構造設計がブラックボックス化しやすいが、コンピューターシミュレーションがグラフィカルに視覚化されることで、建築家も意見やアイデアを出しやすい。このような構造設計の視覚化が、建築家による形態の発想、そして構造家による実現、という一方向的な流れではなく、建築家と構造家の対話による形態の創造につながっているといえる。

 このような建築家と構造家の緊密なコラボレーションからはなにが生まれるだろうか。

 一つには、より創造的な建築形態や、独創的な表層のデザインが可能になることだろう。構造デザインが高度化することによって単純な床、壁、柱といった構造的な文節がなされたデザインだけでなく、自由な曲面をはじめとした無分説なデザインが可能になっている。また構造を支える壁か、窓か、というような単純なデザインではなく、光や風景を取り入れる開口部でありながら同時に構造でもあるというデザインも可能になっている。

 日本の現代建築においてはガラスやアクリル、紙といった「弱い」材料を構造として積極的に用い、そのことがデザインの特徴になっているものもある。鉄を構造として用いる場合にも、みなれたH型鋼の柱や梁ではなく、数ミリの薄いスチールプレートを仕上げではなく構造体としてもちいる。そうすることで本来建物を支えている重々しい構造が「欠如」した不思議な空間を作り出すことが出来る。

 もう一つは構造家がつくりだす構造体が、建築にあたらな「自然」を生み出す可能性がある。現代の日本の建築界では機能が形を生み出すという単純なプロセスはあまり信じられていない。いわゆる機能主義の建築や都市計画があまり成功していないことや、日本でも古い建物を改修し使う経験が増えて来たことから、実はむしろ「形態が機能を喚起する」ことに可能性があるのではないかという考えが増えて来ている。

 その場合、自然のなかに平原があり、森があり、丘があり、川があり、そのような不均質さが人々の住まい方や生活の仕方を規定しているように、建築の中にもある種のフレキシブルさと同時に、不均質さを作り出す必要がある。その不均質さを建築家の個人的な思いつきで作り出すのではなく、構造家との対話で作り出していく。屋根であり、柱であり、壁でもある、そのような新しい構造体が空間をゆるやかに区切っていく。その配置は構造シミュレーションによって最適化され、自然に導かれる。建物の機能は使い手によって「発見」され、時が経って社会の状況が変化すれば機能は「再発見」される。そのような機能と形態の新しい関係が構造デザインによって形を与えられ、実現されようとしている。

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