SIT テクノプラザ Ⅳ
SIT テクノプラザ Ⅳは、芝浦工業大学豊洲キャンパスの1階ロビーにガラスとLVLブロックでつくりだした、レーザーカッターや3Dプリンターなどの機器が並ぶファブラボである。建物内外から学生たちの製作の様子を見ることができる見通しの良さと、乱雑になりやすい作業中の場を魅力的に見せる効果を両立させたいと考えた。
この延床面積150㎡程の空間は、木造軸組構法のほか、佐藤淳氏の構造デザインによる世界初の「ガラスつづら折り構造」の東西耐震構造コアが中央の軽快な軸組構造を支える間仕切りによって、既存校舎のロビーから切り取られている。この構造体は、幅1000mm高さ450mmほどの倍強度ガラスの上下3点を、溝彫したLVLのブロックにエポキシ樹脂で接合し、一段ごとにつづら折りの位相をずらすことで、壁の自重や地震力を各要素の中でやりとりしながら床まで伝えている。既存躯体とは床のみで接合されており、中央の軸組木造部分を両側から挟み込む事によって、軸組部分に働く地震力を負担する形となっている。
これまで板ガラスは、主に風圧力によって面外方向に力を受けるのが一般的であったため、力を小口方向へ加える事によって構造体を成り立たせるというのが今回のチャレンジとなった。つづら折りの屈曲するガラスの複雑な反射と存在感のあるLVLブロックの群れがファブラボの製作風景と重なり、即物的でありながら異化された風景を生み出す効果つくりだすことができたと思う。
SIT テクノプラザ Ⅳ(2023年10月竣工)
- 建築設計:山代悟+ビルディングランドスケープ
- 構造設計:佐藤淳構造設計事務所
- 主要用途:工作室
- 構造:ガラス造(一部木造)
- 規模:地上1階
- 延床面積:150㎡