みやむら動物病院
準耐火性能をもった木質壁構造「木層ウォール」を採用した、都市木造の新しい可能性を示す建築プロジェクト。在来軸組とLVL厚板を組み合わせており、南側の主立面にはLVLの厚板構造が象徴的に並ぶ。屋内側は150mmのLVL積層面を現した「LVL打ち放し」仕上げ。屋外側は、LVL構造体の外側に透湿防水層と通気層をとった上に、防腐処理をした厚さ30mmの仕上げ用LVLを施している。他の外壁や室内側には地震力に抵抗する高耐力の構造要素としてLVLの厚板を用いている。一部LVLは接合部の耐火のため、強化石膏ボードなどの仕上げに包まれるが、室内の空間を有効に使い、かつ将来のプランニングの変更にも対応できる構造計画が実現した。
補助金のない事業物件にこのような画期的な工法が採用できた背景には、「軟弱な地盤に位置するため、建物の軽量化が求められる」一方で「将来の診療の変更に対応できるフレキシブルな構造が欲しい」といった相反する要求があったためである。主立面に象徴的に立ち並ぶ、LVL現しでの使用は、「道路拡幅によって延焼ラインのかからない広い間口の敷地ができた」という好条件によって可能となった。
みやむら動物病院(2015年)
- 建築設計 : 鈴木敏彦/Atelier OPA + 西澤高男/ビルディングランドスケープ
- LVLデザイン監修:山代悟
- 構造 ・防耐火設計: 桜設計集団
- 設備設計:ピロティ
- 照明設計:岡安泉照明設計事務所
- 設計期間 : 2014年1月~2015年3月
- 施工期間:2015年4月~2015年10月
- 施工 : 大和工務店
- 主要用途 : 入院設備付き動物病院
- 所在地 : 東京都江戸川区
- 延べ床面積 : 246㎡
- 規模 : 地上三階
- 撮影 : 齋藤さだむ ビルディングランドスケープ
- 受賞 : ウッドデザイン賞2015(2015年)、第十九回木材活用コンクール 林野庁長官賞(2016年)