上島町ゆげ海の駅舎
実態、既存建築物等の調査を地域の方々と共に進め、地域資源を活かした観光のあり方を探るワークショップを継続してきた。その中、2011年ワークショップで、桟橋のみ整備されていた「海の駅」が陸と海の結節点となるよう、滞在型交流促進のための拠点「海の駅舎」を提案、その後設計を依頼された。
主構造は施工性を考慮して在来木造とし、敷地内を貫通する水路上に建物は建てられないため半屋外として、桟橋からのアクティビティを引込む。分割される建物を屋内外貫通する1/12勾配のスロープでぐるりとつなぎ、車椅子利用者の2階へのアクセスも可能としている。囲まれた吹抜に梁を架け渡し、屋根とスロープに24mm厚の合板を貼り、在来工法でHP曲面を容易とすると共に水平構面を構成する。それで実現した無柱の土間は屋内外連続した多目的スペースとして、今後整備予定の「海の駅前広場」と連続して様々なイベントに対応、スロープを通じて海の駅舎内まで「全てが道端のような」小さな活動が連続する場所となることを目指した。
地域の工務店で建設可能な小さな木造建築でありながら、広がりのある内部空間と、敷地外に繋がる拡張性を実現した。
上島町ゆげ海の駅舎
- 建築設計:ビルディングランドスケープ+SLOWMEDIA 西澤高男、日高仁
- 構造設計:坪井宏嗣構造設計事務所
- 設備設計:ピロティ
- 設計期間:2015年5月~2016年7月
- 施工期間:2016年9月~2017年3月
- 施工:河上工務店
- 主要用途:事務所+休憩所
- 所在地:愛媛県越智郡上島町
- 構造:木造
- 規模:地上2階
- 敷地面積:166.04㎡
- 建築面積:125.10㎡
- 延床面積:154.29㎡
- 撮影:新良太 ビルディングランドスケープ(*印) SLOWMEDIA(**印)
- 受賞:SD Review2016 入選(2016年)